なぜ、世界中の国々のなかで日本だけが週百本を超えるアニメーションを制作できるのか?
- 水戸アニメ
- 2019年8月19日
- 読了時間: 3分
更新日:2020年5月1日
不思議に思いませんか?
アメリカにも『ザ・シンプソンズ』や『スポンジ・ボブ』といったTVアニメはありますが、それでも週百本を超えるアニメーションは作られていません。
理由は簡単で、アニメーションは通常の三倍の制作費がかかるからです。
アニメというのは、とても多くの人々が関わっています。監督、演出、脚本、動画、原画、作画監督、背景、撮影、効果音(SE)、音楽、声優、プロデューサー等々、30分アニメを1本作るのに1千万円くらい制作費がかかります。
お笑いバラエティーのトーク番組と比較して、どうでしょう?
若手お笑い芸人の出演料が5万円くらい、中堅が10~20万円、司会が100万円として、テレビ局内のスタジオで固定給のスタッフで撮影。番組の制作費は、1/3位です。
これが例えば、テレビ東京のようにバス路線の旅とか「〇〇散歩」とか、出演者がさまぁ~ずと局アナだけなんていう番組となると、更に制作費は下がります。
民放の場合、CM収入で番組が成り立っています。そのCMは視聴率に応じて、CM料金が上がっていく仕組みです。常識的に考えて、深夜や早朝に放送されるTVアニメがCM料だけで制作費を回収できる筈がありません。
つまり、世界中の他の国々ではアニメーションの制作費が高過ぎて、週に百本なんて数の新作TVアニメーションを制作することは出来ないのです。
それもこれも、原点は1963年に手塚治虫が作ったTVアニメ『鉄腕アトム』が元凶でした。
アニメの制作費が足りない分を、手塚治虫は自分の漫画の原稿料から支払っていたのです。
また、顔のアップに口パクだけで台詞を言わせたりするリミテッド・アニメーションの技法も、この時に確立されました。『鉄腕アトム』は、当時の日本のアニメ関係者からは「こんなものアニメではない!電気紙芝居だ!」と馬鹿にされましたが、ストーリー性の高さから人気を博しました。とはいえ、資金繰りの悪さからアニメ制作会社虫プロは、1973年11月5日に3億5千万円の負債を抱えて倒産しました。
ふくだのりゆき氏のブログ より。
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ざっと調べたところ20代後半エンジニアの平均年収は495万円だそうで(4,950,000円÷12ヶ月)÷50カット=8,250円が正当なTVシリーズの原画単価ということになるでしょう。劇場なら3倍の24,750円~30,000円が適正でしょうか。
現在団塊の世代の先輩達が動画マンだった頃は今のような低賃金ではなく比較的高収入であったと聞きます。 そのころ動画一枚描けばラーメン一杯食べれたと。適正動画料500円ということはやはりラーメン一杯分(笑) それはその頃のラーメンが120円ぐらいであったからと言う事なのですが現在でも120円がまかり通るスタジオもあると聞くから驚きです。 適正動画料500円は高いとは思いませんが、確かな技術のある人に出したい金額ですね。劇場なら1,500円~2,000円ぐらいが適正でしょうか。
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実際の所、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』のフルアーマー・ガンダム対サイコ・ザクの戦いが手描きアニメで作られているというのは驚きです。
動画1枚描くのに、一体何時間かかるのでしょう? しかも、それが動画1枚120円だとしたら?
アニメ業界の金銭感覚は狂っています。
実態にそぐわない個人事業主制度は、明らかな労働基準法違反です。
日本のアニメ業界は、若い才能を食い潰すことで、週に百本という異常な数のアニメを作っているのです。
近年は、作画崩壊や制作が間に合わずに放送を落とすアニメも出てきました。
原因はアニメーターの絶対数不足です。
次回は、湖川友謙氏を例に厚生年金が無いアニメーターの老後がどれほど悲惨なものになるかをブログで取り上げたいと思います。
水戸アニメーション制作所

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